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笑顔の森ブログ

寝苦し夜におしっこのお話

2026.07.14

夜間頻尿と不眠についてお話します。

 夜間頻尿と不眠は、双方向に作用しあい、互いに悪循環を生みやすい関係にありますが、簡単にどちらが原因かわかりません。

卵が先か、鶏が先か悩むように、頻尿が先か、眠りが浅いの先か。

夜間、トイレに起きた際に「尿意で起きた」のか「目が覚めたついでにトイレに行った」のか、意識してトイレに行くことはありませんよね。

どちらかあいまいでわかりにくいのが普通です。

この二つのパターン

・夜間頻尿 から 不眠を招くパターン

尿意で何度も目が覚めることで睡眠が分断され、深く眠れなくなります。

高齢者では特に、一度覚醒すると再入眠までに時間がかかり、寝られなくなります。

夜中にトイレで何度も起きることで総睡眠時間が短縮し、熟睡できず、日中の眠気や集中力低下につながります。

・不眠 → 夜間頻尿を招くパターン (こちらも重要で見落とされやすいです。)

実は「尿意で目が覚めた」と感じていても、先に浅い眠りや中途覚醒があり、膀胱に尿がたまったという刺激に気づきやすくなっただけというケースが多くあります。

眠りが浅いので、少しの尿意で目が覚めやすいのです。

本人は、尿で起きたと勘違いしていても、睡眠自体が問題があるのです。

例えば、睡眠時無呼吸症候群(SAS)があると、眠りが浅くなります。

そして、睡眠時無呼吸では、無呼吸による血圧上昇、呼吸負荷などから、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)が過剰分泌されます。

心房性ナトリウム利尿ペプチドは、初めて聞く言葉だと思いますが、心臓や肺に負荷がかかると、尿を出さして心臓や肺を楽にさせるホルモンです。

無呼吸や呼吸努力により、体が心肺に負担がかかっていると勘違いし、ホルモンが分泌され尿が増えます。

そうすると、夜間の尿生成が増加する→もともと眠りが浅いので起きてしまうというパターンを引き起こします。

いびきや無呼吸の指摘がある方、日中の眠気のひどい方は特に要注意です。

ストレスや不安による不眠では、交感神経の緊張が膀胱を過敏にし、少量の尿でも尿意を感じやすくなることがあります。

 診療上のポイントは、

この2つは「どちらが先か」を見極めることが治療方針を左右します。

睡眠時無呼吸症候群が背景にある場合は、問診や検査で診断し、CPAP治療で睡眠の質が上がり、夜間排尿回数が減ることが多いです。

不眠症が主体の場合なら、排尿ではなく睡眠の質を改善する治療(生活指導、睡眠衛生指導、場合によっては睡眠薬)が優先されるます。

過活動性膀胱のような、膀胱側の問題が主体の場合は、泌尿器科的治療が優先されます。

そのため、特に夜間の排尿の回数に加えて、いびき・無呼吸の有無、日中の眠気、入眠困難か中途覚醒が多いかといった睡眠の状態も合わせて医師に伝えると、原因の切り分けがしやすくなります。

 夜間頻尿の主な原因です。

夜間頻尿→不眠のパターンとなる原因には、

まず、多尿(そもそも夜間の尿量が多い) 

水分・塩分の摂りすぎ、心不全、糖尿病、抗利尿ホルモンの夜間分泌低下(加齢による)などがあります。

抗利尿ホルモンは夜間にでて、尿を濃縮し、尿の量を少なくするホルモンです。

夜間は、尿量が少なくなるのが普通ですが、加齢とともに分泌が減ったり、ストレスや不規則な生活でこのホルモンの分泌量がへると、

夜間の尿量が減りません。

夜間多尿指数=夜間尿量 ÷ 24時間尿量 × 100 で算出します。

夜間尿が一日尿量の何割かという計算です。

高齢者(65歳以上):夜間尿量が全体の33%以上で夜間多尿

若年〜中年者:夜間尿量が全体の20%以上で夜間多尿

(65歳未満で20〜33%は境界域とされることもあります。)

と判断します。

なお、「夜間」の定義は、就寝時から起床後最初の排尿までの尿量を指します(起床後最初の排尿量を含めるかは計算法によって異なりますが、一般的には含めます)。

加齢とともに抗利尿ホルモン(バソプレシン)の夜間分泌が低下し、夜間の尿生成量が増えやすくなるため、高齢者では基準が緩め(33%)に設定されています。

この判定には、後でお知らせする、排尿日誌の記録(各排尿の時刻と量)が不可欠です。日誌がないと正確な夜間多尿指数は計算できません。

 まずは、生活習慣の改善

・就寝前3〜4時間は水分・カフェイン・アルコールを控える

・夕方以降の塩分摂取を減らす(塩分は水分貯留を招く)

・日中にむくみがある場合、夕方に脚を高くして休む、弾性ストッキングの使用します。

足のたまった水分が、横になることで心臓にもどり尿として出ます。夜眠る前に、夕方横になることで、寝るまでの早めの時間に尿として出す作戦です。

・睡眠環境を整える(睡眠の質自体が浅いと頻尿を感じやすくなる)

 次に薬物治療です。

過活動膀胱には、抗コリン薬、β3作動薬

前立腺肥大症には、α1遮断薬、5α還元酵素阻害薬等を使います。

夜間多尿には、デスモプレシン(抗利尿ホルモン薬、血中ナトリウム値のモニタリングが必要)を使う場合もあります。

むくみが原因の場合は、利尿薬を使って日中の早めの時間に服用するよう調整することが大事です。

受診の目安

夜間に2回以上トイレに起きる状態が続く、日中も頻尿がある、残尿感がある、といった場合は受診をおすすめします。

原因によって治療法が大きく異なるため、自己判断で市販薬などに頼るより、まず検査(尿検査、排尿日誌など)を受けるのが近道です。

特に糖尿病や心不全、睡眠時無呼吸症候群が背景にある場合は、それぞれの治療が優先されます。

どのパターンの夜間頻尿があるのかは、排尿日誌をつけることでわかる場合が多いです。

ここで排尿日誌(排尿手帳)についてご説明します。

排尿日誌とは

日常生活の中で、排尿の時間・量・水分摂取量・尿意切迫感の有無などを記録する表のことです。

夜間頻尿や過活動膀胱の診断・原因を調べるのに非常に役立つため、よく使われます。

記録する主な項目には、

排尿した時刻

排尿量(計量カップ付きの容器で測定するのが理想)

水分摂取量とその時刻(何をどれくらい飲んだか)

尿意切迫感の有無(急に我慢できないほど尿意を感じたか)

尿もれの有無

起床・就寝時刻

記録の期間

一般的に2〜3日間(できれば連続した日、休日を含む)記録することが推奨されます。

この記録で、分かることには、

1日の総尿量が多いか(多尿かどうか)

夜間の尿量が多いか(夜間多尿かどうか)→先ほど書きましたように、 全体の尿量に対し高齢者なら、夜間尿が33%以上だと夜間多尿と判断されます

1回の排尿量が少ないか(膀胱に溜められる量が少ない=蓄尿障害の可能性)

水分の摂り過ぎなど、生活習慣に問題がないか

受診の際にこの記録を持っていくと、医師が原因(多尿型か、蓄尿障害型か、あるいは混合型か)を判断しやすくなり、

治療方針(生活指導・薬物療法など)を的確に決めやすくなります。

記録用紙はクリニックでお渡ししますし、ノートやスマホのメモでも構いません。

一度、排尿の記録をもって受診してください。

一緒に治療法を考えていきましょう。

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